先日起こったドナルド・トランプ前米国大統領の暗殺未遂事件には驚きました。まさに危機一髪(close call)でした。思ったよりも狙撃犯は近づけたようです。この事件が米国ではどのように報じられているのか、CNNのニュースを観てみると、コメンテーターたちがディスカッションでやたらと「rhetoric」という言葉を使っていました。
「rhetoric」を辞書で引くと、「(効果的な話し方・書き方の技術としての)修辞法[学];(ギリシャ・ローマ時代の)弁論術,説得術;文章法[術].」(プログレッシブ英和中辞典)という定義が見つかります。以前から私もこの訳が頭に入っていたので、何でこんな難しい言葉を何度も繰り返すのだろうか、と不思議に思って、さらにいくつか辞書を見てみると…
「(しばしば軽蔑的)) 美辞麗句(の使用),巧言,大げさな[うわべだけ飾った]言葉;美文」(ランダムハウス英和辞典)という定義が…
そういえば、CNNのコメンテーターは大統領選挙戦での文脈やSNSでのバイデン氏とトランプ氏の両陣営による投稿に関する文脈でこの言葉を使っていました。ということは、平たく解釈すれば何のことはない「発言」という意味っぽい。ただし、政治的な意図をもつ巧みな言葉遣いとなるので、「rhetoric」という単語が相応しいのでしょう。
ちなみに、こんな時に案外役に立つのが英辞郎。検索すると、いくつも例が出てきます。たとえば…
rhetoric of a debate(議論の言葉遣い)
bold rhetoric in the campaign(選挙運動での大胆な発言)
うーん、なるほど… ときどき英語のドラマ、映画、あるいはニュースを観ていると、辞書によっては日本語にすると難しく定義されている言葉が、意外と普通の会話で使われていたりすることがあります。「rhetoric」もそんな言葉の1つのようです。