日本翻訳連盟の翻訳祭が現在オンラインで開催されていますが、先日翻訳家の夏目大さんによるセッションを視聴しました。いろいろと勉強になりましたが、その中でも、特に2つ、自分の仕事に参考にすべきことがありました。
- 翻訳スピード
夏目さんの翻訳スピードは、デビュー当時(1990年の後半あたりでしょうか)で1日400字詰め15枚程度、現在はその倍のスピードだそうです (デビュー当時の量を、朝から訳し始めて午前中に終わるそうです)。 ご自身では、翻訳スピードが特別早いとは思われていないようでした。
私の場合、 翻訳者として独立して10年以上経ちますが、おそらくは、1日400字詰め15枚程度ですので(実はこの数年このスピードはあまり変わっていなくて頭打ち…)、もう少し早くなりたいですね。ただし、スピードアップについて、夏目さんは、手順を省いてスピードを上げるのは良くないことであり、1つ1つの手順のスピードがあがることで全体のスピードも上がるようにするべきと述べていました。どうやら地道に数多く英文を読み、あれこれ解釈を考え、文法事項を調べて、訳文を作る練習を積み重ね、その結果スピードがあがるというのが良いようです。また、読書量など、インプットもまだ足りないから、アウトプットに苦労して、スピードが遅いのでしょう(もちろん、ツールの有効活用など、翻訳と直接関係ない部分の効率化はやるべきですね)。
- 何かを書くときに形容詞を使わない
夏目さんは、ブログなどでもよいので、形容詞をできるだけ使わずに、読者に追体験させる文章を書く練習をするといいと述べていました。これは考えを巡らせて、表現力を鍛える訓練にもなりそうです。もしかすると、普段の会話から、気をつけてみるのもいいかもしれないですね。何かについての感想を単に「すごい」で済ませるのではなく、どのようにすごかったのか、そして話し相手に追体験させようとするのもよさそうです(実は、私は身近な人から「ボキャ貧」と思われているようで…「翻訳しているんですよね?」と何回か言われたことがあったような、なかったような?これはまずいぞ)。