オリンピック金メダリストとなり、現在は世界ミドル級チャンピオンとなった村田諒太選手の「 101%のプライド」という本を読みました。村田選手には、ボクサーとしてだけではなく、以前NHKの特集番組で自分の内面と向き合う姿に興味をひかれました。この本の中にも、興味深い話がいくつも出てきます。その1つに「一人村田会議」があります。
試合前はホテル暮らしだそうですが、そこで独り言をいいながら自分自身と対話するそうです(これが「一人村田会議」)。たとえば今度の試合に不安があれば、その理由を掘り下げていく。そこで、試合に負けてしまったら自分の試合のために支えてくれた周りの人からどんな目で見られるのだろうかということが不安の原因だと気づいたら、周りの人の反応は自分自身にコントロールできるのかと考えてみる。そして、それはコントロールできないことに気づき、自分のできること(コントロールできること)に集中しようと思うのだそうです。そうした思考の過程を紙に書くこともあるとのことです。
これは、最近私が参考にしている「ゼロ秒思考」という本に書かれている「一分間メモ書き」というトレーニングによく似ていると思います。この本で著者は、「一分間メモ書き」を毎日繰り返すことで、思考の質が上がっていき、最終的には決断もすばやくできるようになる(決断にかかる時間は0秒が理想)と言っています。もちろん、決断だけでなく、論点の整理や不安の原因を明らかにすることにも役立ちます。
村田選手が1分間という時間制限を設けて一人村田会議やメモ書きをしているのかはわからないのですが、自分の不安について、何回も繰り返し自問自答して、言語化することが、見えない不安を明確にして、不安を克服しているのではないかと推測します。